HOME > ディスクロージャー > 旧財団法人全国中小企業設備貸与機関協会 > 平成17年度事業報告書
全貸協は、中小企業設備貸与事業を効果的かつ総合的に運用し中小企業の振興に寄与することを目的として、昭和54年6月に設立されて以来、中小企業施策等との有機的な連携を図りつつ、中小企業の設備の近代化、設備貸与事業の普及・促進、経営等に関する助言、各種情報提供等を通じ、事業の一層の促進を図るとともに中小企業の健全な発展に寄与してまいりました。
一方で、平成11年の中小企業基本法改正以降、都道府県においては中小企業に対するワンストップサービスの提供、事業運営の一層の効率化等を狙いとして、都道府県に設置されている中小企業支援関連機関の統合が急速に進んでまいりました。このような流れの中で、国の所管法人である全貸協及び広域的な下請取引のあっせん、下請取引の適正化、各種情報提供等を通じて下請中小企業の振興に寄与してきました全国下請企業振興協会についても、都道府県協会等から両全国協会の統合の要望が提起されてきたところであります。さらに、政府の三位一体改革等により、両全国協会を取巻く事業環境は大きく変化してきています。
このような情勢に鑑み、中小企業に対するより横断的かつ効果的・効率的な支援体制を早期に構築する必要があることから、両全国協会は、統合に向けた統合準備委員会を平成17年6月に設置し、以来、統合準備委員会を逐次開催して検討を進めた結果、全貸協を平成17年度末で解散し、全貸協の事業及び財産を全国下請企業振興協会(平成18年4月1日付で「全国中小企業取引振興協会」に名称変更)が引き継ぐこととなりました。なお、両全国協会は、統合前に連携の緊密化、管理コストの削減、業務の効率化等を図るため、平成17年11月に事務所を同じ場所に移転いたしました。
以上のように、平成17年度は統合に向けた諸準備を進める中で、全貸協として事業を実施する最後の1年となりました。
さて、平成17年度のわが国経済は、企業収益の改善、設備投資の増加、輸出・生産の増加等により着実な回復が続き、中小企業においても景気回復の兆しがみられるようになりました。
このような経済環境の下、小規模企業設備資金事業の3月末実績(速報値)をみると、設備貸与事業は、事業規模341億円(補正後)に対して、申込額は263億円(対前年度比5%減)、決定額は193億円(対前年度比4.4%減)で、3年ぶりに前年度を下回る結果となりました。
一方、設備資金貸付事業は、事業規模188億円(補正後)に対し、申込額は128億円(対前年度比5.8%増)、決定額は110億円(対前年度比4.7%増)と、前年度をやや上回る結果となりました。
両事業とも、事業休止機関が増加する中で、ここ2年度は業績回復の兆しがみられましたが、設備貸与事業については前年度を下回る厳しい状況となりました。
小規模企業設備資金制度については、国に対して、これまでも利用者ニーズに合ったより使い勝手のいい制度に改善するための要望を行ってまいりました。平成17年度においては、平成12年度に現行制度が施行されて6年目を迎えたことから、制度利用者の制度に係る評価や利用要件等に関する意見・要望等を把握し今後の制度改善の参考資料とするため、制度利用者に対して実態調査を実施しました。また、これまでに制度を活用して着実に発展してきた企業の事例調査を行い、事例集として取りまとめるとともにホームページに公開し、制度の普及及び利用促進に努めました。
また、設備貸与・設備資金貸付業務、債権管理業務等に携わる人材の育成・
実務能力の向上を目的として、専門講師による機械研修及び債権管理研修を実
施するとともに、平成18年度から適用される新公益法人会計基準(平成16年10月14日改正)に基づく会計処理方法に円滑に移行するため、マニュアルを作成し実務担当者等を対象とした研修を実施しました。
その他、制度の普及・促進のための広報事業及び情報提供事業、小規模企業者等及び貸与機関に対する相談事業等についても、引続き力点を置いて実施しました。
以上が、全貸協としての最終事業年度における主な実施事業であります。
全貸協は平成17年度をもって解散し、事業等は全国中小企業取引振興協会において引続き実施することとなりましたが、小規模企業設備資金制度の抜本的な改正、事業休止機関の増加、三位一体改革に伴う「小規模企業者等設備貸与事業円滑化補助金」の廃止等、大きな課題も残すこととなりました。
今後は、新団体におきましてこれらの課題に取組むとともに、より横断的、効果的・効率的な事業運営を通じて、中小企業振興のため努力してまいる所存であります。
全貸協設立以来、四半世紀余に亘りご指導いただきました中小企業庁をはじめ、ご支援・ご協力をいただきました都道府県貸与機関及び中小企業支援関連機関各位に対しまして、深く感謝を申し上げる次第であります。
なお、平成17年度において実施した事業は次のとおりです。